2012年「雨女」と「3Dメイキング」
2012年6月完成
2012年6月1回だけ本編のみ劇場上映(中洲大洋劇場・シンシアラスター新作映画のプレミアム上映のおまけとして)
ストーリー
生まれてからずっと、ことあるごとに雨が降るという水音(みね)。ある日水音の父親が水を使った新兵器製造に抵抗したため暗殺されてしまう。悲しみに暮れる水音。水音はこのショックから彼女の周囲だけスポット的に雨が降る「雨女」になってしまった。父親の仇を打つため流水工業社長宅に向かう水音。しかし社長を守る5人の刺客が彼女を襲う。大雨だけが味方の水音の運命や如何に。
吉村文庫初のフルハイビジョン実写特撮アクションコメディ作品。
「雨女3Dメイキング」はこの文章の一番最後に貼り付けています。
「雨女3Dメイキング」はこの文章の一番最後に貼り付けています。
作品制作の経緯
企画始動は2005年「深い衝撃」完成直後から。このときはハイビジョン機材も高価でレンタルでも手が届かない状態。編集機材もこの世にほとんどない状態でした。(「深い衝撃」はこういう理由で泣く泣くSDになりました)それからわずか7年後。なんと家庭用ハイビジョンカメラは当たり前になり、編集も中級ノートパソコンでも可能という夢のような時代になってしまいました。こうしてフォーマットは劇場公開、大スクリーンでも耐えられるハイビジョンで製作することになりました。
最も難航したのが主人公の選定。自主映画なのでノーギャラ前提。ずっと雨に濡れながら、芝居ができてさらに美人でかわいいというハードな条件。その高いハードルを越えて選ばれたのが松島優美さんです。素晴らしい女性です。
アクションは庵野秀明監督映画「キューティハニー」のアクション監督で、アジアの超アクションスターであるシンシアラスターさん。「深い衝撃」に引き続き作品のアクションを作り上げていただきました。しかも撮影直前に中国でご自身の映画出演があるにもかかわらずこの厳しいアクション全体をまとめていただいて本当に感謝感激です。
「雨女」は自主映画ですが現場撮影スタッフが全部で40人以上という大規模なもの。撮影場所の周辺住民への協力通知、警察、消防など、許可関係だけでも膨大なものになります。今回は劇場映画を数多くこなす福岡フィルムコミッションの協力が大きな力になりました。
今回の撮影キーポイントはもちろん「雨」ほぼ全カット雨がらみなので1カット1カット、撮影は大変なことになりました。通常の撮影のほぼ倍の機材と人員が必要になりました。特に今回はリアリティ重視で合成で雨を降らすことは極力避け出来る限り現場で雨を降らせて撮影しています。
そのため主演の松島さんは常に「照明OK」「スモークOK」「雨OK」「カメラ回して」まで待って初めて演技を始めるのです。ずぶ濡れになりながら撮影を待つ松島さん。撮影のラストカットで倒れてしまうのも当たり前です。本当にごめんなさい。
画面には常に雨が必要になるので、撮影場所には常に4トンの散水車が2台待機。場合によっては2台一斉に放水。狭い画角撮影の時には交代で水を調達に行きます。問題なのが、その水の調達。道路に水を撒くのとは訳が違い、必ず人に浴びせるために、近くの川から不衛生な水を取り込むことが出来ず、限りなく飲料水に近い奇麗な水が必要でした。天然水の会社、キャンプ場や家族温泉、そして市役所などの役場関係にも協力していただきました。
結局この作品では合計100トンの水を使用しています。つまり4トン散水車が25回水場と撮影現場を往復しているのです。
この水の担当をしたのがアクション監督でもあるシンシアラスアー率いるラスタープロを中心としたメンバー。シンシアさんはアクションと同時に放水監督として大活躍。慣れない作業、本当にありがとうございます。
ラスボス流水嶺峯は福田建次さん。マニア的にはウルトラマン80のスーツアクターとして有名。現在は福岡のテレビのメインMCをいくつも務める、福岡ローカルの超有名人です。久しぶりのアクションもちょっぴり披露しています。現在は福岡県中間市の市長です!!おめでとうございます!
その衣裳(戦闘服)の字を手掛けたのは美術家の半田さん。1994年「竹取物語」1998年「シンデレラ」2001年「くらやみ教習所」のメインタイトルに引き続きお願いしました。嶺峯の戦闘服のイメージは日本語が大好きな外国人。このためにデザインを起こしてもらった特注の生地の白い服に黒染料で直接書いていただきました。雨女タイトル、入学式の看板など画面上で見える文字全般を担当です。
今回は結婚式や運動会などでかなりの数のエキストラに強力していただきました。特に運動会は冒頭数十秒のために九州大学のグラウンドの6分の1を使て運動会映像を作っています。
照明は地元テレビ関係では有名な九州ハートス。照明監督の梅田さんは私の稚拙なイメージを大胆に解釈していただきとても美しい照明を構築していただきました。4日間常に電源車が伴う大掛かりな照明です。
特殊美術は吉村文庫作品でいつも東京からかけつけてくれるイフェクツの戸上さん。造形、爆発、特殊メイクと八面六臂の活躍です。今回特注のウオーターガンはトリガーを引くとちゃんと放水できてしかも大型のホースも付け替え可能のスグレモノです。最期に銃を落とすカットで片面が大破してしまいました。
そして電柱や鉄骨を無償で作っていただいたのが地元福岡の造形専門家フライトギアの土井さん。よく見ると電柱に私の携帯番号がサラ金の広告として貼り付けてあるという芸コマ。リアルな造型は、はさすがプロの仕事です。
そして特筆すべきは、今回の音楽はメイキングも含めて全てオリジナルなのです。作曲はゲーム音楽などで有名なクサノユウキさん。予算の無い中できるだけ実音に近い音楽を・・とかなり困らせました。
そしてエンディングテーマは、まさかのミニスカポリス!現在のミニスカポリスのプロデューサーであ
る写真家の山岸伸先生から音楽を提供していただきました。曲はCD化されていない未発表曲。ここしか聞くことができない貴重な音源です。
この作品のメイキングは全て3Dで撮影されました。撮影は学生が担当しましたが慣れない3Dに悪戦苦闘。編集ソフトの都合でメイキングは単純なBGVですが現場の雰囲気を深く伝える非常にリアルなものになっています。ぜひブルーレイ3Dで鑑賞していただきたいです。(2D版動画は一番下にあります)
常にスタッフバスと電源車と散水車を伴い、車だけで十数台。スタッフ40人規模の撮影は小規模映画と同じ状態。ノーギャラ協力がほとんどなのに撮影実費だけで製作費が前作「深い衝撃」のほぼ2.5倍。もちろん全部吉村文庫の自費です。泣。もう二度とこんな撮影できません。
余談ですが映像に使用した食品は全て消費期限切れや食用にできなくなったものです。念のため。
(3Dメイキングは2DしかUPできなくてごめんなさい。ただのメイキングBGVになっています。)
※ところで「主人公の乳首が透けて見える」と言われたことがありますが
見えているあれは付け乳首です。シンシアさんが用意してくれました。
その辺はちゃんとしているのです!さらに念のため。
※ところで「主人公の乳首が透けて見える」と言われたことがありますが
見えているあれは付け乳首です。シンシアさんが用意してくれました。
その辺はちゃんとしているのです!さらに念のため。